最大の敵は、諦めだ。

タングスの雑記です。ブログ名は2011年のJRAのJCのCMから拝借しました。

追悼・ミンナノヒーロー

 青天の霹靂とは正にこの事だろう。

 

 こっそりと応援していた競走馬、ミンナノヒーローが7/20の盛岡競馬第8レース競走中に開放脱臼を発症し、残念ながら手の施しようがなく、予後不良(安楽死)となってしまった。

 

 Twitterでは呟いたが、当初、出先で中継映像を見られなかった私は、「競走中止」と書かれた成績を見て嫌な予感がした。ウマ娘から競馬ファンになった自分にとってそれは、沈黙の日曜日の悲劇にあったサイレンススズカ、淀に愛され淀に散ったライスシャワー、そういった馬の怪我が場合によっては馬の生命を脅かす事をつくづく知っているからである。

 「そうでなければいいな…」そう思い、公式の情報が出るのを待った。日が暮れた頃だったと思う。NARの公式Twitterがミンナノヒーローの訃報を伝えた。ショックで言葉が出なかった。ただ「ああ……」とうなだれるしか。

 

 母父にオグリキャップをもつミンナノヒーローは僕の見る限りオグリキャップの様に可愛らしくて、岩手競馬に移籍してから、岩手の水沢競馬場で走ったレースではその強さを見せていた。2021/07/19段階で4戦して3連勝。2着が1回。連対率100%という強さだったのだ。

 

 訃報を見て覚悟を決めた僕は、中継映像のVOD配信を見た。彼の最期の勇姿を見るために。

 2021/07/20、盛岡競馬場の第8レース。左回りダート1400m。後から確認すると単勝1.0倍の元返し。圧倒的な人気を集め、ゼッケン8番のミンナノヒーロー。彼は走った。

 先行したミンナノヒーロー、逃げた馬を第三コーナーで捉え、第四コーナーで先頭に立つ。しかし、そこで彼の左前脚が悲鳴をあげたのが中継映像だけで分かった。思わず叫んだ。録画だと分かっていても、予後不良となった事が分かっていても。

 それでも、大怪我を負い激痛に苦しみながら、彼はジョッキー、つまり相棒を振り落とす事なく、静かに減速した。ヒーローは優しく賢い馬だったのだろうとその所作で感じた。

 まだ4歳の牡馬。まだまだ夢を見せてくれるだろうと思った彼はもういなくなってしまった。あまりにも悲しくて切ない…。

 

 ミンナノヒーローは僕にとってもヒーローでした。どうぞ安らかにおやすみください。